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矢内原美邦『前向き!タイモン』

矢内原美邦『前向き!タイモン』

ー長すぎる長ゼリ。独特な世界観をもつコメディ。

 

第56回岸田國士戯曲賞受賞

  

男 2 女 1 上演時間 ?

 

あらすじ

シェイクスピアの『アテネのタイモン』をベースにした物語。 主人公は大門(タイモン)という金融業をやっている男で、祖父が一代で築いた会社の三代目。祖父は、金融業で財を築いたわけではなく、実 は、ひよこの雌雄を判別する鑑別師、その技術で財を築いた。父親は早くに亡くなり、祖父に育ててもらった主人公の大門は、「イイ大門(タイモ ン)」「普通の大門(タイモン)」「悪い大門(タイモン)」の3つのキャラクターを持っている。大門は日々ユリさんという女性をお屋敷で自分 の部屋からでないで待っている。お屋敷で働くメイド達はただ、お屋敷の掃除をしている。ある日、タイモンは雨の日に散歩をしていて出会った リンゴ農家の人がリンゴが売れないことを嘆いており、大門は、親切心からすべてのリンゴを買い取ることになる。おかげでリン ゴは高値にな って、例えば1箱 1 0 万とかの、そんな凄い価格になったりして、リンゴがお金と同等になる。毎日運ばれてくるリンゴ、しかし、メイドはまった くリンゴを剥いてくれず、大門は、それに苛立ちつつも、祖父の思い出からクリスマスには特別の想いがあり、実は誕生日がク リスマスだという ことも微妙に関係して思いをはせたりするが結局リンゴの皮はむけない、ユリさんはやってこない。ただ、リンゴの皮さえむけていればと思う だけで、行動にはおこさない。

http://www.precog-jp.net/press-releases/timon-japan-tour.pdfより引用

 

長ゼリフが多いのが印象的な作品。

 

松尾スズキ氏の選評

『前向き!タイモン』は、正直俺には、難しかったのですが、実際あの長いコミカルなセリフを高速で喋り踊り、おそらく限界までがんばらなければならない俳優を見てみたい、という気にはさせられました。大変そう過ぎて自分が出たいとは、まったく思えませんが

 ケラリーノ・サンドロビッチ氏の選評

矢内原美邦『前向き!タイモン』は独自のイメージ展開が魅力的だった。ルールの新しさにおもねることをしていないのが強みであろう(あるいは無自覚であることが)。ひとつ苦言を呈すれば、対話が弱い。というか、対話に興味がないのかもしれない。ダイアローグを弾ませられれば、恐るべき才能に化けると思う。

 

前向き!タイモン

前向き!タイモン

 

 

第56回岸田國士戯曲賞選評(2012年) - 白水社